レクサスは世界トップクラスの静粛性を誇りますが、その静かさゆえに、 今まで気づかなかった「ウィーン」「キーン」といった微細な音が 一度気になり始めると、大きな不安に変わってしまうものです。
特にハイブリッド車(HEV)や電気自動車(BEV)の場合、 エンジン音がしない領域が多いため、モーター特有の作動音なのか、 それとも深刻なトラブルの予兆なのかを判断するのは至難の業です。 この記事では、レクサス専門の知識を持つプロライターの視点から、 モーター異音の真因と、放置した場合の致命的なリスクを徹底解説します。
【この記事で分かること】
- 正常な「磁励音」と、ベアリング故障による「異常音」の明確な違い
- インバーターやパワーコントロールユニット(PCU)の寿命を示すサイン
- 放置することで発生する「システム全停止」や「車両火災」の具体的リスク
- 新車保証、延長保証(e-Care)、リビルト部品を賢く使った修理費削減術
レクサスのモーター音がうるさいと感じる主な原因とは

レクサスの静粛性が極めて高いために、一般的な車では無視されるような 微細な電気的・機械的作動音が「異音」として耳に届いてしまいます。 多くはハイブリッドシステムが効率よく稼働している証拠の「正常音」ですが、 中にはパーツのミクロ単位の摩耗が原因で発生するものも存在します。 まずは、なぜ「うるさい」と感じるのか、その物理的構造と背景を整理しましょう。
レクサスで発生しやすい「モーター音の異音」の特徴
レクサスのハイブリッドラインナップ(RX, NX, ES, UX, LSなど)において、 オーナー様から報告される異音には、大きく分けて3つの周波数帯が存在します。 最も多いのが、加減速の際に発生する「ウィーン」という高周波音で、 これは「磁励音(じれいおん)」と呼ばれ、モーター内部の磁石とコイルが反応する音です。
しかし、この音が「唸り」に変わったり、金属が擦れるような音を伴う場合は、 モーターを支えるベアリングの潤滑不足や摩耗が強く疑われます。 特に過走行車(10万km超)や、過酷な熱環境下で使用された個体では、 モーター内部の絶縁材が劣化し、電気的なノイズが増大することもあります。
以下の表に、音の種類とそれが示す「車からのメッセージ」をまとめました。
| 音の種類 | 主な原因 | 内部の状態 | 緊急度 |
|---|---|---|---|
| ウィーン(澄んだ音) | 正常な磁励音 | インバーターが正常に電流を制御中 | 低 |
| グォーン(重低音の唸り) | ベアリング摩耗 | 回転軸の支持部にガタや焼き付きが発生 | 高 |
| キーン(耳を刺す音) | 素子・コンデンサ劣化 | PCU内部の電気的寿命が近づいている | 中 |
| チチチ・カチカチ | リレー・スイッチ音 | 高電圧の切り替えや接触不良の初期症状 | 中 |
| ジー(濁った電気音) | ハーネスのリーク | 高圧ケーブルの被覆損傷や水分の侵入 | 激高 |
走行中・停車中で異なるモーター音の聞こえ方

レクサスのモーター音は、車の「動」と「静」の状態で発生源が劇的に変化します。 停車中に「ブーン」という音がシート下やラゲッジ付近から聞こえる場合、 それは駆動用モーターではなく、ハイブリッドバッテリー用の冷却ファンの音です。 夏場の渋滞時などは、バッテリー温度の上昇を防ぐためにフル回転するため、 高級セダンのLSですら、外にいる歩行者が驚くほどの音量になることがあります。
一方、走行中に発生する音は、速度やアクセル開度にダイレクトに連動します。 特に回生ブレーキ作動時に「ヒューン」という音が以前より大きくなるのは、 モーターが発電機として働き、大きな電流がインバーターへ逆流するためです。 この音が「ギャー」という濁った音に変わる場合は、トランスアクスル内の 遊星ギヤに異物や摩耗が生じている可能性があり、ミッション交換の検討が必要です。
また、最新のレクサス(NX以降など)では、電動パワーステアリングのモーター音も 以前よりダイレクトに伝わる設計になっており、据え切り時に「クーン」という音が ステアリングコラム付近から聞こえることがありますが、これも多くは正常範囲内です。
エンジン音とモーター音を勘違いしやすいケース
レクサスのハイブリッドシステム「THS-II」は、極めて洗練されているがゆえに、 エンジンとモーターの切り替わりが非常にシームレスで判別が困難です。 実際には「エンジンが唸っている音」を「モーターの異音」と誤認したり、 その逆のパターンでトラブルを見逃してしまうケースが多々あります。
典型的なのは、冬季の始動直後です。触媒を温めるためにエンジンが強制的に回りますが、 この時の回転数は高く設定されているため、車内には「ブーン」という低周波が響きます。 これをモーターの負荷音と勘違いする方が多いのですが、 水温計が上がるにつれて音が消えるのであれば、それはエンジン側の正常な動作です。
| 比較項目 | エンジン音(内燃機関) | モーター音(電気駆動) |
|---|---|---|
| 主な周波数 | 低〜中周波数(重厚感がある) | 高周波数(キーン、ウィーン) |
| 振動の有無 | ピストンの往復運動による振動がある | 振動は極めて少なく、滑らか |
| 音の消え方 | 回転数が下がるにつれて徐々に消える | 電流が止まれば一瞬で無音になる |
| 発生条件 | 負荷走行時、暖気時、充電不足時 | 発進時、緩加速時、回生ブレーキ時 |
ハイブリッド車特有の作動音との違い
レクサスを初めて所有した方が最も困惑するのが、スピーカーからの擬似的な作動音です。 これは「車両接近通報装置」と呼ばれるもので、EV走行中に静かすぎて 歩行者が気づかないことを防ぐための安全装備であり、前方から独特な音が流れます。 時速約25km以下で走行している際に、前方から「フォーン」という音が聞こえます。
この音は法的に義務付けられており、あえてモーターに近い音色に設定されています。 もし、この音が時速30kmを超えても止まらなかったり、 音のピッチが車速と全く噛み合わずにズレている場合は、 制御コンピューターやスピーカーユニット自体の故障が疑われます。
その他、ブレーキペダルから足を離した瞬間の「カチッ」という音や、 システムをOFFにした後の数分間、どこからか聞こえる「ウィーン」という残響音も、 システム終了に伴う自動クリーニングや圧力解放の音であり、正常なものです。 これらの音を「異常」と決めつける前に、取扱説明書を一度確認することをおすすめします。
新車でもモーター音が気になる理由

「1,000万円も出した新車なのに、なぜこんなに音がするのか」という相談は多いです。 実は、レクサスの最新モデルほど、軽量化のために吸音材を最適化しており、 特定の周波数帯(特にインバーターの高周波)が車内に透過しやすい傾向があります。 さらに、窓を閉め切った時の静寂が「無音室」に近いため、耳の感度が上がります。
特にISやESといったセダン系は、ロードノイズが極限まで抑えられているため、 相対的にモーター音を目立たせる要因となっています。 タイヤが「プレミアムコンフォートタイヤ」を装着していることも、その一因です。
ただし、新車であっても組み立て精度の個体差はゼロではありません。 もし、ディーラーの代車や展示車に乗ってみて、自分の車の方が明らかに 耳に刺さるような高い音がしているのであれば、それはインバーターの 取り付けブラケットの共振や、防音カバーの密着不足といった「初期不良」かもしれません。
異音か正常音かを判断する簡単チェック方法
愛車の音が「緊急を要するもの」かどうかを判断するための3ステップ確認法です。 まず、車を平坦な場所に停め、窓を全て閉めた状態でエアコンをOFFにします。 そこでアクセルをゆっくり踏み込み、時速10km〜20kmで「音の粒立ち」を確認してください。
第二に、ステアリングを左右に据え切りしてみてください。 もしハンドル操作に合わせて「ギィー」という音が混じる場合は、 駆動モーターではなく、パワーステアリング用モーターまたはポンプの異常です。 第三に、バック(Rレンジ)に入れて少し動かしてみましょう。 前進時とは違う、鋭い「ギャー」という音がする場合は、ギヤのバックラッシュ異常のサインです。
| チェックシーン | 正常な挙動 | 異常のサイン |
|---|---|---|
| 急加速時 | 「ウィーン」と音が徐々に高まる | 「バリバリ」とノイズが混じる |
| ブレーキ停車直前 | 音が低くなりながら消える | 「ガクン」という衝撃と共に音が止まる |
| 窓を開けての走行 | 反射音が壁から聞こえる | 異臭(焦げ臭い)を伴う音がする |
| システム起動時 | 1回「カチッ」と鳴る | 連続して「カチカチカチ」と鳴る |
レクサス モーター音 異音の原因を見極めるポイント
モーター異音の本質を見極めるには、「温度」と「負荷」の相関関係に注目してください。 例えば、朝一番の冷え切った状態でのみ出る異音は、 モーター内部のグリスの硬化や、部品の熱収縮によるクリアランスのズレが原因です。 逆に、走行して車が温まった後に「キーン」という音が大きくなるのは、 インバーター内の半導体素子が熱を持ち、冷却が追いついていない証拠です。
また、レクサスの4WDモデル(E-Four)にお乗りの場合は、 後輪側のリアモーターの異音にも注意を払う必要があります。 前輪側はエンジン音に隠れやすいですが、リアモーターは後席の下にあるため、 「後ろから変な音がする」という家族の指摘で故障が発覚することも多いのです。
もし異音が発生している最中に、エネルギーモニターを見て、 「バッテリーへの充電が極端に遅い」「回生ブレーキの表示が安定しない」 といった現象が併発しているなら、それはモーター自体の物理故障ではなく、 制御するPCUの演算エラーによる「不自然な駆動」が音を招いていると言えます。
レクサスのモーター音を放置すると起こるリスクと対処法

「高級車なんだから、そう簡単には壊れないだろう」という過信が、 後に「レクサスをもう一台買えるかもしれない」ほどの出費を招くことがあります。 ハイブリッドシステムの異音は、精密機械が発する「悲鳴」そのものです。 放置することのリスクは単なる故障に留まらず、あなたや家族の命、 そしてブランドが持つ高い資産価値をも脅かすことになります。
【以下で分かること】
- 異音を無視し続けた結果起こる「インバーター破裂」と車両火災の危険性
- モーター・インバーター一式の交換にかかるリアルな費用明細(数十万円〜)
- レクサス認定中古車(CPO)の保証終了後に注意すべき「10万kmの壁」
- リビルト部品を活用し、ディーラー見積もりの半額以下で修理するテクニック
モーター音の異音を放置すると故障につながる理由
モーターから不自然な音が聞こえる状態を放置することは、 「ショート寸前の電気回路」を無理やり使い続けることに等しい行為です。 例えば、高周波の異音が大きくなっている場合、インバーター内部の 平滑コンデンサーが膨張し、内部で微細なスパークが発生している可能性があります。
これを無視して走行を続けると、ある日突然、インバーターが内部短絡を起こします。 その瞬間に「パン!」という破裂音とともに、システムが完全停止。 高速走行中であっても、駆動も発電もできなくなり、 ステアリングは重くなり、ブレーキの倍力装置も機能を失うという恐怖の事態に陥ります。
また、物理的なベアリングの異音を放置すれば、摩耗した金属粉が 高電圧回路に付着し、本来絶縁されているべき場所に電気が流れる「リーク」を招きます。 これは車両火災の原因にもなり得る、極めて危険な状態です。 「たかが音」という認識が、レクサスを再起不能なダメージへと追い込みます。
修理費が高額になりやすいモーター関連トラブル

レクサスのハイブリッド修理が「輸入車以上に高い」と言われるのには理由があります。 部品が、一般的なトヨタ車よりも高い電圧と出力を許容する「専用品」であり、 インバーターユニットは、精密な半導体の塊のため丸ごと交換が基本となるからです。
以下の表に、私の経験に基づいたリアルな修理費用の概算をまとめました。
| 修理箇所 | 部品代(純正新品) | 技術料(工賃) | 合計目安 |
|---|---|---|---|
| PCU(インバーター) | 350,000円 | 60,000円 | 約41万円 |
| フロントモーター | 750,000円 | 150,000円 | 約90万円 |
| トランスアクスル全体 | 950,000円 | 180,000円 | 約113万円 |
| ハイブリッドバッテリー | 220,000円 | 40,000円 | 約26万円 |
| 冷却用電動ポンプ | 45,000円 | 25,000円 | 約7万円 |
参照元:価格.com:レクサス RX ハイブリッド 修理費用クチコミ
これほど高額な費用を突きつけられた際、多くのオーナー様が「乗り換え」を検討します。 しかし、故障した状態のレクサスは、査定額が大幅に下がります。 適切なタイミングでの「予防整備」が、結果的に資産価値を守ることになるのです。
ディーラーに相談すべきタイミングの目安
どのような変化を感じた瞬間に、サービスコンサルタントに電話すべきか。 それは「音の質が、ある日を境に変わった」ときです。 昨日までは「ウィーン」という高い音だったのが、今日から「ゴロゴロ」と 濁った音が混ざり始めたのであれば、それは一刻を争う事態です。
また、ハイブリッドシステムに関わる異音は、必ずコンピューターに「履歴」を残します。 たとえ今は警告灯がついていなくても、異常な電流値や温度上昇があれば、 「ECU」にエラーコードが刻まれている可能性が高いです。 点検などの機会を待たずに、「最近、モーター音が耳に付くようになった」と診断を依頼しましょう。
特に、中古でレクサスを購入された方は、前オーナーのメンテナンス履歴が不透明です。 運転スタイルが変わった途端に潜在的な不具合が表面化することが多いため、 少しでも「違和感」を覚えたら、迷わずディーラーの門を叩くべきです。
自分でできる簡単な確認・応急チェック

万が一、走行中にモーター音が異常に大きくなり、焦げ臭い匂いがしてきた場合。 まずは安全な場所に車を止め、システムを「READY OFF」にします。 その後、少なくとも15分は待ってください。インバーター内には高電圧が残留しているからです。
自分で確認できる唯一の場所は、ボンネット内の「ピンク色の液体(クーラント)」です。 レクサスのハイブリッド車には、エンジン用とインバーター用の2系統があります。 インバーター用のタンクを見て、液量がMINラインを割っていたり、 液体が茶色く濁っている場合は、即座に積載車を呼んでください。
また、タイヤの隙間からオレンジ色の太い配線が見えますが、 ここから火花が散っていたり、液体が漏れている場合は、決して素手で触れないでください。 600Vを超える電圧が流れており、即死の危険があるほどの電流が流れています。 自分にできるのは液量の確認までと肝に銘じておきましょう。
異音修理は保証や延長保証が使える?
レクサスの新車保証は他ブランドよりも手厚いのが特徴です。 新車登録から5年間、または走行10万kmまでは主要部品がカバーされ、 駆動用モーターやインバーターの故障は、多くの場合「無償」で修理されます。
さらに、多くのオーナー様が加入する「レクサス延長保証(e-Care)」があれば、 最長7年まで保証を継続でき、認定中古車(CPO)なら2年間の保証が付帯します。 ただし注意が必要なのは、「異音だけでは保証が適用されないケース」があることです。
「音はするが機能的には正常」と判断されると、保証修理は難しくなります。 この壁を突破するには、「音によって明らかに運転に集中できない」ことや、 「燃費が以前より20%以上悪化している」といった具体的な不利益を伝える必要があります。
参照元:レクサス公式サイト:リコール・改善対策・サービスキャンペーン
修理か様子見か迷った時の判断基準
修理に数十万円かかる際、私は以下の「3つの基準」で判断することをおすすめしています。 1つ目は「今後3年以上乗り続けるつもりがあるか」。 もし1年以内に買い換える予定なら、リビルト部品で安く済ませるのが正解です。
2つ目は「その異音が、同乗者に不安を与えるレベルか」。 レクサスは、大切なゲストをもてなすための車です。 横に乗った人が「この車、大丈夫?」と聞いてくるような状態では、 レクサスを所有する最大の喜びである「品格」と「安心感」を失っていると言えます。
3つ目は「走行不能になる予兆があるか」。 アクセルを抜いた時に「ガクン」という振動が来たり、 EVモードへの切り替わりがスムーズでない場合は、もはや「様子見」の段階ではありません。 迷った時は「家族を乗せて高速道路を走れるか」と自問自答してみてください。
レクサス モーター音 異音の原因と正しい対応【まとめ】

レクサスのモーター異音は、オーナー様にとって大きなストレスですが、 正しく理解し迅速に対処すれば、決して恐れる必要はありません。 世界最高峰の技術が詰まった車だからこそ、その繊細なサインを見逃さず、 プロの診断を仰ぎながら、最高の一台を維持し続けてください。
【まとめ】
- モーター異音の多くは正常な磁励音だが、濁った「唸り音」への変化は危険のサイン
- 「キーン」という超高音は、インバーター内部の電子素子が劣化している重要な予兆
- 停車中の「ブーン」という音は、夏場によくあるバッテリー冷却ファンの作動音
- 車両接近通報装置(擬似音)は、時速25kmを超えると消えるのが正常な動作
- 異音を放置するとシステムが突然シャットダウンし、走行不能や車両火災を招く
- インバーター修理は約40万円、モーター全体なら100万円を超えるケースもある
- 新車保証(5年/10万km)やCPO保証、延長保証e-Careの適用を真っ先に確認
- ディーラーへは「音の質」「発生条件」「燃費の変化」をセットで報告する
- 自分でできるのは冷却液の目視チェックまで。高圧部位への接触は絶対に避ける
- 安全と高いリセールバリューを守るため、違和感を感じたら即座にプロの診断を


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