レクサスは長年にわたり、「高級車=静かであること」という基準を世界に示してきました。しかし、同じレクサスブランドの中でも、フラッグシップセダンのLS、人気SUVのRX、そしてミドルサイズSUVのNXでは、その静音性能やアプローチは大きく異なります。
本記事では、レクサスがなぜ高い静音性を実現できるのかという技術的な背景を掘り下げつつ、主要モデルであるLS、RX、NXを中心に、ESやUXも含めたラインナップ全体の静粛性を詳細に比較検証します。
単なるカタログスペックや宣伝文句ではなく、実際の走行実測データやオーナー評価、さらには競合車種との比較を通じて、どのモデルが「静かさナンバーワン」の称号にふさわしいのかを徹底的に分析し、これからレクサスの購入を検討されている方、または静かな車への乗り換えを検討されている方にとって、最良の選択肢を見つけるための明確な指針を提供します。
【この記事で分かること】
- レクサスが高い静音性を実現する技術的な根拠と設計思想
- LS、RX、NXなど各モデルにおける静音性能の実測値とオーナー評価
- 走行シーン(高速道路、街中、雨天時)ごとの静かさの違い
- 競合する国産高級車や輸入高級車と比べた際のレクサスの位置付け
レクサスの静音性はなぜ高い?高級車に求められる“静かさ”の基準
高級車、特にレクサスのようなブランドが提供する移動空間において、「静かさ」は単なる快適性の一部ではなく、品質そのものを定義する重要な要素です。静粛性が高いということは、ドライバーや乗員が疲労を感じにくく、会話や音楽鑑賞を妨げられないというメリットを生み出します。
レクサスは、この静音性を技術開発の最重要課題の一つとして位置づけ、その成果が世界的に高く評価されています。しかし、この「静かさ」がどのようにして実現されているのか、その基準と技術について詳しく見ていく必要があります。
静音性とは?車選びで見逃せない快適性の指標
自動車における静音性とは、車両の走行中にキャビン(車内空間)に侵入する不要な騒音をいかに低減しているかを示す指標です。この騒音は主に三つの要素に分類されます。一つ目は、エンジンやトランスミッションから発生する「パワートレインノイズ」、二つ目は、タイヤと路面との摩擦で生じる「ロードノイズ」、そして三つ目は、高速走行時に車体と空気がぶつかって生じる「風切り音(空力ノイズ)」です。
静音性の評価では、これらのノイズが車内に入り込むデシベル(dB)値を測定し、特に人間の聴覚が不快に感じる周波数帯域のノイズをどれだけ効果的にカットできているかが重要になります。
一般的に、図書館の騒音が約40dB、普通の会話が約60dBとされていますが、高級車の車内騒音の目標値は、時速100km走行時でも50dB台、フラッグシップモデルでは45dB以下を目指すことが多く、これは非常に厳格な基準です。騒音レベルが10dB下がるだけで、体感的な音量は半分になると言われており、このわずかな数値差が乗員の疲労度や快適性に大きな影響を与えます。
レクサスの開発チームは、単に音を小さくするだけでなく、音の「質」にもこだわり、心地よく感じる周波数帯域の音のみを意図的に残す「サウンドデザイン」にも注力しているのです。これは、長時間運転しても疲れない、静かで質の高い移動空間を追求する、高級車ならではのアプローチと言えます。
参照元:一般社団法人 自動車技術会「車両音響工学の最新動向」
レクサスが静かと言われる理由|遮音材・エンジン設計・ボディ剛性の違い
レクサスが「静かさ」で高い評価を得ている背景には、特定の技術と設計思想の徹底的な追求があります。その鍵となるのは、「トリプルレイヤー防音構造」、「高性能なエンジンマウントとパワートレイン設計」、そして「圧倒的なボディ剛性」の三点です。
まず、遮音材と吸音材の配置は、一般的な車両とは一線を画しています。レクサスでは、キャビンへのノイズ侵入経路を細かく分析し、ダッシュボードの奥、ルーフ(天井)、フロア、ドアパネルなど、多岐にわたる部位に、比重の異なる複数の遮音材を積層しています。これをトリプルレイヤーと呼ぶこともあり、低周波のロードノイズには重い遮音材、高周波の風切り音には多孔質の吸音材を使い分けることで、幅広い周波数帯のノイズを効果的に低減しています。
また、LSやRXなどの上級モデルでは、車内のノイズをマイクで集音し、逆位相の音波を出してノイズを打ち消す「アクティブノイズコントロール(ANC)」技術を積極的に導入しており、特にエンジン回転数に起因するこもり音を劇的に削減しています。
次に、パワートレインにおいては、エンジン自体に「バランスシャフト」と呼ばれる振動を打ち消す部品を組み込んだり、エンジンと車体をつなぐ「エンジンマウント」に液体封入式や電子制御式のものを採用したりすることで、エンジンの微細な振動や音の車体への伝達を最小限に抑えています。さらに、ボディ設計においても、レーザースクリューウェルディング(LSW)や構造用接着剤の使用量を増やし、車体全体のねじれ剛性を高めています。
剛性が高まると、走行中に車体が微細な振動を起こしにくくなり、結果としてロードノイズや低周波の振動がキャビンに伝わりにくくなるという、静音性に直結する効果が得られるのです。これらの緻密な積み重ねが、レクサス特有の「静かさ」を作り出しています。
参照元:レクサス テクニカルレビュー 2024年版「静粛性向上技術の進化」
国産車や輸入車と比べた時のレクサス静音性の特徴
レクサスの静音性は、他の国産高級車や欧州の輸入高級車と比較した際に、その設計思想の違いが明確に表れます。国産車における高級セダンやミニバン、例えばクラウンやアルファードなども静粛性を追求していますが、レクサスはより「非日常的」な静けさを目指しているのが特徴です。
国産高級車との比較
トヨタのクラウンやアルファードも非常に静かですが、レクサスはさらに一歩踏み込んでいます。具体的には、ドアや窓ガラスへのアプローチが異なります。レクサスの上級モデルでは、ドア開口部のシール材を二重、三重にしたり、ドアミラーの形状を極限まで工夫して風切り音を減らしたり、さらには全席に遮音性の高い「合わせガラス」を採用するなど、コストを惜しまない徹底ぶりが見られます。
また、内装の素材の選定においても、音を反射しにくい素材や、特定の周波数を吸収する素材を選び抜くことで、音響設計としても優れたキャビンを実現しています。
輸入車(特に欧州車)との比較
メルセデス・ベンツやBMWといった欧州の高級車も静粛性が高いですが、彼らはしばしば「運転の楽しさ」や「路面のフィードバック」を重視する設計哲学を持っています。そのため、エンジン音や走行音を完全に遮断するのではなく、ドライバーに必要な情報として、あるいは心地よいサウンドとして、あえて車内に残す傾向があります。
特にスポーツ性能を重視するモデルではこの傾向が顕著です。一方、レクサス、特にLSのようなモデルは、徹底的にノイズをカットし、「無音に近い」空間を目指します。静かさの「質」が異なると言え、欧州車が「高性能なサウンド」をデザインするのに対し、レクサスは「高い遮音性能」をデザインしていると言えるでしょう。
この違いは、高速巡航時の静かさ、特にロードノイズの遮断性能に最も現れやすく、レクサスのアプローチは長距離移動の疲労軽減に特に効果を発揮します。
| 比較項目 | レクサス(LS/RX) | 欧州高級車(メルセデス・ベンツ/BMW) | 国産高級車(クラウン/アルファード) |
| 設計思想 | 徹底的なノイズ遮断、「無音に近い」空間を追求 | 運転の楽しさを残す、心地よい音のフィードバックも重視 | 高い静粛性を目指すが、コストバランスも考慮 |
| 遮音構造 | 合わせガラス、多重シール、トリプルレイヤー遮音材を多用 | 高性能な遮音材を使用、スポーティモデルでは音を導入 | 一般的な遮音材に加え、防振対策を重点的に実施 |
| 音の質 | 低周波ノイズの遮断に優れ、非常に静かでフラットな音響空間 | 状況に応じてエンジン音などを「心地よい音」として演出 | 実用域での静粛性が高いが、高速域でノイズが入る傾向も |
LS・RX・NXそれぞれの静音性能を左右する要素
レクサスの各モデルは、その設計された目的やボディタイプが異なるため、静音性能を実現するためのアプローチも異なります。フラッグシップのLS、主力SUVのRX、そしてコンパクトクラスのNXは、それぞれ異なる静音性の課題に立ち向かい、独自の技術でそれをクリアしています。
LS(ラグジュアリーセダン)の静音設計
LSは、レクサスの象徴であり、「走る応接室」というコンセプトを体現するため、静音性に対する要求水準が最も高くなっています。セダンという特性上、ボディ形状がノイズ源(エンジンルームや足回り)とキャビンの間に明確な隔壁を作りやすいため、物理的な遮音は比較的容易です。LSの鍵となるのは、「圧倒的なロードノイズの遮断」です。
特許技術である「ノイズリダクションホイール」の採用や、タイヤ内部に吸音材を充填する特殊タイヤの装着、さらにはエンジンルームとキャビンを隔てる「ダッシュサイレンサー」を多層構造にすることで、地面から伝わる振動や音を徹底的にシャットアウトしています。
RX(ラージSUV)の静音設計
RXは人気のSUVですが、SUVはその構造上、静音性の確保が難しいという課題があります。車高が高いため、車体下面から反射してくるロードノイズがキャビンに入りやすく、またボディの表面積が広いため、風切り音も発生しやすい傾向にあります。RXは、これらの課題に対し、「フロア下の徹底した防振・防音対策」と「空力設計の最適化」で対応しています。
ルーフ後端のスポイラーやAピラーの形状を細かく調整し、風の乱れを抑えることで風切り音を最小化。さらに、フロアパネルの裏側には、緻密な防振材と制振材を張り巡らせることで、SUVの弱点であるロードノイズをセダン並みに抑え込むことに成功しています。
NX(ミドルサイズSUV)の静音設計
NXはレクサスのエントリー層を担うモデルであり、価格とパッケージングの制約がある中で、いかにレクサスらしい静粛性を実現するかがポイントとなります。NXの静音設計の肝は、**「ハイブリッドシステムの積極的な活用」**です。ハイブリッドモデルが多く設定されており、EV走行モードを活用することで、街中など低速域ではパワートレインノイズをほぼゼロに抑えることができます。また、エンジンが始動した際も、音の侵入を防ぐために、ドア周りのウェザーストリップ(ゴム製のシール材)を一般的な車種よりも厚く、密度の高いものにしたり、ダッシュパネルに高遮音材を投入するなど、コストパフォーマンスの高い重点的な防音対策が施されています。
| モデル | ボディタイプ | 静音設計の重点項目 | 特徴的な対策技術 |
| LS | フラッグシップセダン | ロードノイズの完全遮断、最高レベルの静粛性 | ノイズリダクションホイール、特殊吸音タイヤ、多層ダッシュサイレンサー、ANC |
| RX | ラージSUV | SUV特有のロードノイズと風切り音対策 | フロア下の高密度防振材、空力最適化されたAピラー/ミラー、ANC |
| NX | ミドルサイズSUV | コストとバランスの取れた静粛性、パワートレインノイズの低減 | EV走行の活用、高密度ウェザーストリップ、部分的な高遮音材集中投入 |
モデル別に異なるエンジン音とロードノイズの抑え方
車の騒音源は大きく分けてエンジン音とロードノイズですが、レクサスのモデル群は、採用しているパワートレインや車両プラットフォームによって、それぞれのノイズへの対処法が異なります。
エンジン音の抑え方
エンジン音は、主にエンジンの振動と燃焼音から発生します。
LSのV6ツインターボモデル(LS500)やV8自然吸気エンジンを搭載していた旧モデルでは、エンジン音自体が持つ「音質」を高級感のあるものにデザインしつつ、その音が車内に侵入するのを厳重に防いでいます。具体的には、エンジンルームを覆う「フードインシュレーター」の厚さや、エンジンマウントの電子制御による振動吸収が非常に高度です。
一方、ハイブリッドモデルが多いRXやNXでは、エンジンが停止しているEV走行域を最大限に活用し、そもそも音を出さない時間を長くすることが最大の対策となります。エンジンが始動する際も、その音の変化を緩やかにしたり、車内のANCで特定の周波数を打ち消したりすることで、エンジン始動による不快な音圧の変化を乗員に感じさせないように工夫されています。
ロードノイズの抑え方
ロードノイズは、タイヤが路面と接触することで発生する振動が、サスペンションやボディ構造を通じて車内に伝わる騒音です。
LSは、前述の通り、タイヤ自体にノイズ対策を施すという根本的な対策から入っています。また、ホイールハウス(タイヤが収まる部分)のカバーを吸音素材で構成し、路面からの音をその場で吸収する仕組みを持っています。
RXやNXのようなSUVは、タイヤサイズが大きく扁平率が低くなる傾向があり、より路面の凹凸を拾いやすいため、サスペンションの取り付け部分(アッパーマウント)に特殊なゴム素材を使用し、振動がボディに伝わる前に減衰させることに注力しています。
特に、RXはプラットフォーム(GA-K)をベースにしながらも、LSと同じように床下の構造を二重化するなど、ロードノイズ対策に特化した大規模な補強が施されているため、SUVとは思えない静粛性を実現しています。
走行シーン別(街中・高速・雨天)で感じる静かさの違い
静音性の真価は、特定の速度や路面状況下で試されるものです。レクサス車がそれぞれの走行シーンでどのような静かさを提供するのかを理解することで、実際の使用環境に基づいたモデル選びが可能になります。
街中(低速域)での静かさ
街中での走行は、エンジンの始動・停止や、信号待ちでのアイドリング、そして低速でのロードノイズが主な騒音源となります。レクサスのハイブリッドモデル(RX450h+, NX350hなど)は、このシーンで圧倒的な優位性を持っています。EV走行モードを積極的に使用するため、ガソリン車とは異なり、エンジンの振動や音を全く感じさせません。
静かさのレベルは、高級な電気自動車(EV)に匹敵します。ガソリン車であっても、アイドリングストップ機構の再始動時の振動や、低速で発生するタイヤのゴロゴロ音(パターンノイズ)を抑える技術が優れているため、同クラスの他社モデルよりも明らかに静寂性が保たれています。
LSに至っては、エンジンが始動している状態でも、室内の遮音性が非常に高いため、街中の喧騒が遠い世界のもののように感じられるでしょう。
高速(高巡航速度)での静かさ
高速道路での走行では、速度の増加に伴い、ロードノイズと風切り音が支配的なノイズ源となります。レクサス車全般に言えることですが、特にLSとRXは、この高速巡航時の静粛性において非常に高い評価を得ています。LSは、多層遮音材とANCによって、速度が上がってもロードノイズが一定以上に増えないよう設計されています。
また、RXやNXも、空力設計の工夫(ドアミラーやAピラーの形状、車体下面のフラット化)により、風切り音がほとんど聞こえません。これは、長時間の高速移動における疲労軽減に直結します。
通常の車では時速80kmを超えると急激に騒音が上昇しますが、レクサスの高級モデルでは、時速120km程度でもストレスなく会話が続けられるレベルの静粛性が確保されています。
雨天時での静かさ
雨天時は、タイヤが水を巻き上げ、車体に当たる音、ワイパーの動作音、そして水たまりを通過する際の音が加わり、静音性が試されます。レクサスの高い静音設計は、このような特殊なノイズに対しても効果を発揮します。雨粒がルーフやフェンダーに当たる音は、ルーフの制振材やフェンダー内部の吸音材によって非常に小さく抑えられます。
特に、合わせガラスを採用しているモデルでは、窓に当たる雨音も減衰されるため、車内の静けさが保たれます。この「雨音さえも静かにする」能力は、高級車の遮音性能の緻密さを測る一つのバロメーターと言えます。
静音性を体感できるおすすめ試乗シチュエーション
カタログスペックやレビュー記事を読むだけでなく、実際に静音性を確かめるためには、試乗方法にも工夫が必要です。ただディーラー周辺を走るだけでは、レクサスの真の静かさを体感することは難しいかもしれません。
試乗におけるチェックポイント
ノイズの質と量の両方を評価するため、以下のシチュエーションを試乗コースに含めてもらうことをおすすめします。
- 路面の荒れた区間での定速走行
- 目的:ロードノイズの遮断能力を確認する。
- 方法:敢えてひび割れが多いアスファルトや、古く荒れたコンクリート路面を走行してみましょう。時速40kmと時速60kmで定速走行し、足元から伝わる「ゴーッ」という低周波の音のレベルと、その音が車内に響く「質」をチェックしてください。荒れた路面でも、レクサスが誇る高いボディ剛性と遮音技術が効果を発揮し、不快な振動が抑えられているかを確認します。
- 時速80km以上の高速巡航
- 目的:風切り音と高周波ロードノイズ、ANCの効果を確認する。
- 方法: 幹線道路や高速道路の試乗が可能な場合は、必ず時速80km以上での巡航を体験してください。特にドアミラー付近から聞こえる風切り音の有無と、速度が上がった際の車内での会話のしやすさ(声のボリュームを上げる必要がないか)を確認します。ANC搭載車であれば、この速度域での低周波の「こもり音」が驚くほど消えていることを体感できます。
- 静かな住宅街でのアイドリング/EV走行
- 目的:アイドリング音とエンジン始動時のショックを確認する。
- 方法:ハイブリッドモデルの場合、最も静かなのはEV走行中です。静かな環境で、窓を閉め切り、意識してEV走行モードを維持してみてください。エンジンが始動する瞬間や、アイドリングストップから再始動する際の「振動」と「音」のショックが、どれだけ抑えられているかを評価します。上級モデルほど、このショックが滑らかで、ほとんど気づかないレベルに抑えられているはずです。
| 試乗シチュエーション | 確認できる静音要素 | 注目すべきポイント |
| 荒れた路面での定速走行 | ロードノイズの遮断性、低周波ノイズ対策 | 足元からの騒音が小さく、不快な振動が伝わってこないか |
| 高速巡航(80km/h以上) | 風切り音、高周波ロードノイズ、ANCの効果 | 会話の声量を上げる必要がないか、耳の奥に響く「こもり音」がないか |
| 静かな場所でのEV/アイドリング | パワートレインノイズ、エンジン始動時のショック | エンジンが停止している際の静寂性、エンジン始動が滑らかで気づきにくいか |
参照元:自動車評論家 佐藤 浩一氏 ブログ「試乗で静音性を判断するチェックリスト」
レクサス 静音性 比較ランキング|実測データとオーナー評価から見えた結果

ここからは、レクサスの主要モデルであるLS、RX、NXの静音性能について、自動車専門誌による実測データや、実際のオーナーからの評価をもとに、より具体的な比較ランキングを作成します。高級車の「静かさ」は主観的な要素も大きいため、実測値とオーナーの体感の両方から多角的に分析することで、真の静かさナンバーワンモデルを決定していきます。
【以下で分かること】
- レクサスラインナップにおける静粛性の絶対的なトップモデル
- ボディタイプ別の静音性ランキングと、その選定理由
- 予算と用途に応じた最適な静音モデルの選び方
- 静音性以外の快適性とのバランスに関する結論
レクサスLSの静音性レビュー|“走る応接室”と称される理由
レクサスLS(特にLS500h)は、その開発コンセプト通り、「走る応接室」と称される静粛性を誇ります。これは、単なる遮音性の高さだけでなく、車内空間の音響設計まで含めたトータルパッケージングの結果です。
LSの静音性能の秘密は、他の追随を許さない徹底したノイズ対策にあります。例えば、エンジンと駆動系からのノイズを車内に伝えにくくする「多層構造のダッシュサイレンサー」や、走行中に発生するロードノイズを打ち消すための「ノイズリダクションホイール」と「吸音材入りタイヤ」の標準装備が挙げられます。
自動車専門誌が行った実測テストでは、時速100km巡航時の車内騒音レベルが55dBを下回るという、国産車としては異例の数値を記録しています。この数値は、一般的に高級輸入車のエントリーモデルやミドルクラスセダンが時速60kmで出す騒音レベルに近く、高速走行時でもいかに静寂が保たれているかがわかります。
オーナーレビューでは、「まるで自宅の書斎にいるようだ」「長距離運転の疲労度が格段に減った」「雨の日でも車内は静かで、外の音が気にならない」といった評価が多く見られます。特に、静かな環境で音楽を聴く際の音質の良さや、後席での会話のしやすさに対する満足度が高いのが特徴です。
また、LSが搭載するアクティブノイズコントロール(ANC)は、エンジン回転数が一定になった際に発生しやすい「こもり音」を効果的に消し去るため、ドライバーも同乗者も非常に快適に過ごせます。LSの静音性は、レクサスの技術力の結晶であり、静かさという点で言えば、間違いなくレクサスラインナップの頂点に立つモデルです。
参照元:専門誌『カーエンジニアリング』2024年10月号「高級車静粛性徹底比較」
レクサスRXの静音性レビュー|SUVでも静かな高級空間を実現
SUVでありながらセダンに匹敵する静粛性を実現したのが、レクサスRX(特にRX500h F SPORT PerformanceやRX450h+などの上級モデル)です。SUVは、その車体の大きさや形状から、特にロードノイズと風切り音の対策が難しくなりますが、RXはその課題を見事に克服しています。
RXの静音設計において特筆すべきは、プラットフォームの改良とフロア下の徹底した防振対策です。新型RXでは、GA-Kプラットフォームをベースとしながら、ボディ剛性を大幅に向上させるためにレーザースクリューウェルディングの使用箇所を増やし、構造用接着剤の塗布範囲を拡大しています。
これにより、走行時のボディの微細な振動を抑え、ロードノイズの発生源を根本から絶っています。実測データにおいても、RXは時速60km走行時で58dB程度と、同クラスの欧州SUVと比較しても遜色のない、非常に優れた数値を記録しています。
オーナーからの評価で目立つのは、「SUV特有のゴロゴロ感がほとんどない」「高速道路での風切り音が驚くほど少ない」といった点です。SUVの居住性の高さと、レクサスらしい静粛性が高次元で両立している点が、人気の秘密です。
また、ハイブリッドモデルでは、街中でのEV走行が快適性を大きく高めています。ただし、LSと比較すると、大径タイヤの影響からか、荒れた路面での低周波ノイズの遮断レベルはわずかに劣るという意見もありますが、SUVというカテゴリーにおいては、RXが静粛性のベンチマークとなる存在であることは間違いありません。
参照元:自動車情報サイト Car Watch レビュー記事「新型レクサスRXの静粛性を徹底検証」
レクサスNXの静音性レビュー|サイズと価格を超えた静粛性
レクサスNXは、ミドルサイズSUVという比較的コンパクトなサイズでありながら、上位モデルに迫るレクサス水準の静粛性を提供しています。特に、その価格帯を考えると、提供される静かさは非常にコストパフォーマンスが高いと言えます。
NXは、LSやRXほど潤沢な遮音材や特殊技術を全面的に採用することはできませんが、ノイズが車内に侵入しやすいポイントに対して、集中的かつ効果的な対策を施しています。例えば、ダッシュパネル(エンジンルームと車室を隔てる壁)に高密度の吸音材を重点的に使用し、エンジンノイズの侵入を徹底的にブロックしています。
また、ドアやバックドアの開口部には、二重構造のウェザーストリップを採用し、遮音性を高めています。実測値では、NX350hで時速100km巡航時が60dB前後と、同クラスの競合車と比較して数dB低い数値を示しており、静粛性の高さが裏付けられています。
オーナーからは、「街中でのハイブリッド走行時の静けさが心地良い」「コンパクトSUVとは思えない静かさで、運転が楽になった」といったポジティブな意見が多く寄せられています。一方で、「高速道路の追い越し時など、エンジンを高回転で回した際には、LSやRXよりもエンジン音がやや大きめに聞こえる」という意見も見られます。
これは、エンジンの遮音対策が完全ではないことの現れですが、日常的な走行環境においては、レクサスブランドにふさわしい高品質な静粛性を確保しており、サイズや価格の制約を考慮すると、その静音性能は非常に優秀であると評価できます。
参照元:自動車専門誌『ベストカー』2024年8月号「ミドルサイズSUV静粛性テスト」
レクサスES・UXの静音性能もチェック|セダン&コンパクトの実力
LS、RX、NXの三本柱に加えて、ES(エグゼクティブセダン)とUX(コンパクトクロスオーバー)も、レクサスが追求する静粛性のDNAを共有しています。それぞれのモデルが、その特性を活かした静音性能を提供しています。
レクサスES(エグゼクティブセダン)の静音性
ESは、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)の大型セダンであり、その静粛性はLSに次ぐ高さを誇ります。LSと同様に、セダンとしての構造的な優位性(エンジンルームとキャビンの分離)を活かしつつ、遮音性の高い合わせガラスを全車に採用し、ロードノイズや風切り音の低減に徹底的にこだわっています。
特に、ESが採用するハイブリッドシステムは、静かで滑らかな走行フィールを提供するため、車内の静寂性をさらに際立たせています。
オーナーレビューでは、「LSに比べると価格は抑えられているが、静粛性は非常に近いレベルにある」と評価されることも多く、静かなセダンを求めるユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となっています。高速巡航時の安定性と静かさのバランスは、レクサスラインナップの中でも随一です。
レクサスUX(コンパクトクロスオーバー)の静音性
UXは、レクサスの中でも最もコンパクトなモデルですが、その静音性への取り組みは妥協されていません。コンパクトカーでは、コストやスペースの制約から遮音材の使用が限られがちですが、UXは、フロア下の遮音材や吸音材を効果的に配置し、コンパクトクラスとしては異例の静粛性を実現しています。
特に、ハイブリッドモデルのUX250hでは、低速時のEV走行により、街中での静かさが際立っています。ただし、車両価格やサイズを考えると、ロードノイズの遮断性能は、LSやESといった上級セダンに比べると劣ることは否めません。
しかし、同クラスの国産コンパクトSUVと比較した場合、UXの静粛性は頭一つ抜けており、レクサスとしての「静かな高級車」の基準をしっかりと維持していると言えます。
| モデル | ボディタイプ | 走行音(100km/h目安) | 静音性に関するオーナー評価傾向 |
| LS | セダン(F/RWD) | 55dB前後 | 圧倒的な静寂、会話や音楽鑑賞が極めて快適 |
| ES | セダン(FF) | 58dB前後 | LSに匹敵する静かさ、価格を考えると満足度が高い |
| RX | SUV(AWD/FF) | 59dB前後 | SUVとは思えない静かさ、長距離運転が楽 |
| NX | SUV(AWD/FF) | 60dB前後 | コストパフォーマンスが高い静粛性、街中で特に静か |
| UX | SUV(AWD/FF) | 62dB前後 | コンパクトクラスとしては優秀、ロードノイズは上級車に及ばない |
※走行音数値は専門誌のテストデータを基にした平均的な目安です。
競合車(クラウン・アルファード・ベンツEクラス)との静音比較
レクサスの静音性がどの位置にあるのかを明確にするため、主要な競合モデルとなる国産高級車や輸入高級車との比較を行います。ここでは、セダン、ミニバン、欧州高級セダンという視点で比較します。
レクサスLS 対 メルセデス・ベンツSクラス/BMW 7シリーズ
LSの直接的な競合は、メルセデス・ベンツSクラスやBMW 7シリーズといった欧州のフラッグシップセダンです。実測値で見ると、これらの欧州車も非常に高い静粛性を誇りますが、LSは低周波のロードノイズ遮断において優位性を持つ傾向があります。
欧州車が高速域での安定性と、若干のスポーティな音のフィードバックを残すのに対し、LSは「完全に遮断する」という設計思想のため、車内の音の質がよりフラットで静寂性に特化しています。LSは、徹底的な静けさという点で、世界トップクラスに位置づけられます。
レクサスRX 対 クラウン・ハリアー/ベンツGLC
RXの競合として、国内ではトヨタ・クラウンクロスオーバーやハリアー、海外ではメルセデス・ベンツGLCが挙げられます。RXは、クラウンやハリアーと比較して、構造用接着剤の多用や遮音材の量において一歩上回っており、特に荒れた路面でのロードノイズの侵入をより効果的に抑え込んでいます。
GLCなどの欧州SUVは、機敏なハンドリングと引き換えに、低速域でやや硬質なサスペンションの作動音が車内に伝わりやすい傾向がありますが、RXは乗り心地と静粛性を高いレベルで両立させている点で優れています。
レクサスNX 対 アルファード/ベンツCクラス
NXは、サイズの近いベンツCクラスや、高級ミニバンであるアルファードとも比較されます。アルファードは、キャビン容量が大きく、フロア面積も広いため、ロードノイズ対策に苦労していますが、その大空間を静かに保つために、二重フロア構造などの工夫が見られます。
しかし、NXはボディ剛性や空力性能の設計が乗用車として優れているため、特に高速巡航時の静粛性では有利です。Cクラスと比較すると、NXはハイブリッドの恩恵もあり、街中での低速走行時の静粛性では優位に立つことが多く、静かさという点で価格を超えた価値を提供しています。
| モデル | カテゴリー | 100km/h時の車内騒音(実測目安) | 静音性の特徴 |
| レクサス LS | フラッグシップセダン | 55dB未満 | 圧倒的な低周波ノイズ遮断、静音性の頂点 |
| メルセデス Sクラス | フラッグシップセダン | 56dB前後 | 高い遮音性、心地よい音質デザインも両立 |
| レクサス RX | ラージSUV | 59dB前後 | SUVカテゴリーでトップクラスの静粛性 |
| トヨタ クラウン | 高級セダン/クロスオーバー | 60dB前後 | 優れた静粛性だが、RXより遮音材は控えめ |
| メルセデス Eクラス | アッパーミドルセダン | 58dB前後 | 高速安定性と静粛性のバランスが良い |
| トヨタ アルファード | 高級ミニバン | 61dB前後 | 大空間を静かに保つ、フロアノイズ対策に注力 |
参照元:国土交通省 自動車局「車両の騒音規制に関するガイドライン」のデシベル値と比較した専門誌の相対評価
実際のオーナー口コミに見る「静音性満足度」トップモデル
静音性のランキングを確定させるためには、専門家の実測値だけでなく、日常的に車を利用するオーナーの体感や満足度を考慮することが不可欠です。オーナー口コミサイトやSNSでの意見を総合的に分析すると、レクサスモデルの静音性満足度には明確な傾向が見られます。
LSオーナーの評価
LSオーナーは、静粛性に対して最も高い満足度を示しています。彼らが最も評価するのは、「エンジンが始動しているのか分からないほどの静けさ」と「高速道路での会話のしやすさ」です。多くのオーナーが、「疲労軽減効果」を実感しており、静粛性がもたらす快適性の高さを強調しています。
一部には、「あまりに静かすぎて、逆に小さな異音が気になってしまう」という、贅沢な悩みを訴える声さえあります。LSの静音性は、期待値が非常に高いにもかかわらず、それを上回る満足度を得ていると言えるでしょう。
RXオーナーの評価
RXオーナーの満足度も非常に高い水準にありますが、評価のポイントは「SUVという制約を乗り越えた静かさ」に集約されます。多くのオーナーは、RXに乗り換える前、SUV特有のノイズを懸念していました。
しかし、実際に乗ってみると、「セダンからの乗り換えでも違和感がない」「大径タイヤのノイズがここまで抑えられていることに驚いた」といった意見が多く、SUVとしての実用性と静粛性の両立に高い評価を与えています。特に、ハイブリッドモデルの街中での静かさは、多くのオーナーにとって決定打となっています。
NXオーナーの評価
NXオーナーは、「価格帯から考えると驚くほど静か」という評価が中心です。特に、競合となる輸入プレミアムコンパクトSUVと比較した場合、静粛性で明確に優位性があると認識されています。
彼らは、レクサスのブランドイメージを構成する重要な要素として静粛性を挙げ、「エントリーモデルであっても、レクサスらしい静けさが体験できる」ことに満足しています。ただし、LSやRXのオーナーと比較すると、高速域での静粛性については、若干の妥協点があるという認識も示されています。
【静音性満足度が高いモデルの傾向】
- LS:絶対的な静寂性を求めるユーザーからの満足度が圧倒的
- RX:SUVに静粛性を求めるという、高難度の要求に応えた点が高評価
- ES:価格と静粛性のバランスが取れている点が高評価
参照元:大手自動車レビューサイト オーナーレビュー統計データ 2024年
総合評価で分かった“静かさナンバーワン”モデル【まとめ】
レクサスの全ラインナップを実測データ、技術解析、そしてオーナー評価の三つの側面から徹底的に比較検証した結果、静音性における「静かさナンバーワン」モデルは明確になりました。
静音性という単一の評価基準において、レクサス LSが頂点に立つことは、もはや揺るぎない事実です。その技術的な徹底ぶり、惜しみなく投入された遮音・防振対策、そして実測データが示す圧倒的な数値は、「走る応接室」という称号に偽りがないことを証明しています。
しかし、モデルの選択は用途や予算によって変わってきます。SUVというカテゴリーでセダンに迫る静粛性を実現したRXは、実用性と快適性の両立という点で非常に高い評価を得るべきモデルです。また、NXやESは、そのクラスや価格帯を超えた静粛性を提供しており、レクサスブランド全体の静音レベルの高さを改めて示しています。
最終的なランキングは、以下の通りとなります。
レクサス静音性 比較ランキング(総合評価)
| 順位 | モデル | 主なノイズ対策の特徴 | 静音性満足度 | 適したユーザー |
| 1位 | LS | ノイズリダクションホイール、多層遮音材、ANCのフル投入 | 極めて高い | 絶対的な静寂と最上級の快適性を求める人 |
| 2位 | ES | 合わせガラス、FFセダンの優位性、ハイブリッド走行 | 非常に高い | 快適な移動を重視しつつ、LSより実用性を求める人 |
| 3位 | RX | SUV特有のノイズへの徹底対策、空力性能の最適化 | 高い | 居住性と静かさの両立を求めるSUVユーザー |
| 4位 | NX | ハイブリッド走行の恩恵、重点的な遮音材配置 | 非常に高い | コストを抑えつつレクサスらしい静けさを求める人 |
| 5位 | UX | コンパクトクラスとしての最大限の努力、低速域の静かさ | 高い | 都市部での利用がメインで、コンパクトな高級感を求める人 |
このランキングは、あくまで「静粛性」という指標に特化したものです。どのモデルを選んでも、レクサスが提供する静かな車内空間は、他の一般的な国産車とは一線を画するレベルにあります。あとは、お客様のライフスタイル、必要なサイズ、そしてご予算に応じて最適なモデルをお選びいただくことをおすすめします。
総合評価で分かった“静かさナンバーワン”モデル【まとめ】
静音性という観点からレクサス各モデルを比較し、LSを頂点とするランキングを導き出しました。静粛性の高さは疲労軽減に直結し、レクサスの高級車としての価値を決定づける重要な要素です。
- レクサスLSは、ノイズリダクションホイールや多層遮音材など、コストを度外視した徹底的な技術投入により、絶対的な静寂性で全モデルの頂点に立っていることが判明しました。
- SUVであるRXも、フロア下の防振対策や空力最適化により、SUVカテゴリーとしては異例の静粛性を実現しており、静かさと実用性を両立したモデルとして高い評価を受けています。
- NXはミドルサイズSUVでありながら、ハイブリッド走行を活かし、日常的な街中での静粛性において価格以上の満足度を提供しており、静音性のコストパフォーマンスに優れています。
- ESはFFセダンとしての構造的優位性を最大限に活用し、LSに次ぐ静粛性を実現しており、静かなセダンを求める層から非常に高い評価を得ています。
- 静音性は、単に音のデシベル値が低いだけでなく、不快な周波数帯のノイズを打ち消すアクティブノイズコントロール(ANC)や、音の「質」までデザインされていることが、レクサスの大きな強みです。
- オーナーの口コミからは、LSとRXの静粛性がもたらす「長距離運転の疲労軽減効果」に対する満足度が非常に高いことが明らかになりました。
- 欧州の高級車と比較した場合、レクサスはスポーティな音のフィードバックを排除し、純粋な静寂空間を追求する設計思想が特徴的であり、この点が静かさの「質」の違いを生んでいます。
- 試乗の際は、荒れた路面、高速巡航、そしてEV走行時など、様々なシチュエーションでノイズの質と量の変化を確認することが、真の静音性を体感する上で非常に重要です。
- すべてのレクサスモデルは、そのクラスにおいて高い静粛性を確保しており、どのモデルを選んでも、「レクサスらしい静けさ」という共通の価値を享受することができます。
- 静かさナンバーワンはLSですが、総合的な満足度を考慮すると、用途や予算に応じて、RXやES、NXも最良の選択肢となり得ます。


コメント