レクサスは、トヨタが世界に誇る高級車ブランドとして1989年に北米で誕生しました。日本国内での展開が始まったのは2005年と比較的最近ですが、「おもてなし」の精神と高い品質で、日本の高級車市場に確固たる地位を築いています。しかし、一方で「レクサスは人気がない」「デザインが好きになれない」といった声を聞くことも増えてきました。このギャップは一体どこから来るのでしょうか。
この記事では、レクサスのデザインに対する世間の評価、ブランド戦略、そして実際の購入層の年齢層や満足度といったデータから、レクサス人気の真の姿を徹底的に分析します。単なるデザインの好き嫌いを超えて、レクサスが日本の高級車市場でどのような役割を果たしているのか、その人気の秘密と誤解されている点について、プロの視点で深く掘り下げていきます。
【この記事で分かること】
- レクサスが「人気がない」と言われる主な理由とその背景
- レクサスのデザインに対する若年層と既存購入層の評価の違い
- 実際のレクサス購入層の年齢層や収入層の傾向と満足度の実態
- デザインよりも購入者が重視している「静粛性」や「信頼性」といった価値
レクサスが人気ないと言われる理由とデザインへの評価を分析
レクサスが一部で「人気がない」と評される背景には、単なる販売台数の問題だけではなく、そのデザインの方向性、ブランド戦略、そして競合となる欧州高級車ブランドとの立ち位置の違いなど、様々な要因が絡み合っています。
特に、近年のレクサス車に共通する「スピンドルグリル」に代表される、個性的でアグレッシブなデザインは、評価が二分されやすい要素となっており、これが「人気がない」というイメージに繋がる一因となっていると考えられます。このセクションでは、レクサスが抱えるイメージと実態のギャップについて、多角的な視点から分析していきます。
レクサスが人気ないと感じる人が増えている背景とは?
レクサスが「人気がない」と感じる人が増えている背景には、国内の自動車市場全体の変化と、ブランドがターゲットとする層の拡大が深く関わっています。かつてのレクサスは、フラッグシップセダンであるLSに代表されるように、重厚で保守的なデザインと、徹底した「静粛性」や「高品質な内装」を武器に、主に企業の経営者層や高所得の中高年層を主要な顧客としていました。この層は、他人の評価よりも「信頼性」や「長く乗れること」を重視する傾向が強く、レクサスの提供する価値観と合致していました。
しかし、近年、レクサスはブランドイメージの若返りを図るために、より個性的でスポーティなモデルを増やし、特に外観デザインにおいて「スピンドルグリル」を核としたアグレッシブなデザインへと大きく舵を切りました。この変化は、新しい顧客層を取り込む上では功を奏しているものの、従来のレクサスが持っていた「落ち着いた高級感」を好む層からは、「デザインが過激になった」「レクサスらしさが薄れた」といった戸惑いの声を生んでいます。
さらに、欧州プレミアムブランド、特にメルセデス・ベンツやBMWが、若年層や女性層を意識したコンパクトモデルやSUVのラインナップを充実させ、デザインもより洗練されたものに進化させている中で、レクサスはそれらとの比較に晒され、デザインの好き嫌いがより明確に分かれる結果となっているのです。これにより、高級車全体に興味を持つ人々の間で、レクサスのデザインは「個性が強すぎる」として敬遠される要因となり、「人気がない」という誤ったイメージが増幅していると考えられます。
参照元:自動車産業リサーチラボ
デザインが古い・個性が強すぎると感じる層の意見
レクサスのデザイン、特に「スピンドルグリル」に対して、「個性が強すぎる」「攻撃的すぎる」と感じる層は少なくありません。このスピンドルグリルは、2012年頃からレクサスの全モデルに順次採用されてきたブランドの象徴とも言えるデザインですが、その巨大な開口部と鋭利なヘッドライトの組み合わせは、賛否両論を巻き起こしてきました。
デザインが「古い」と感じる意見の背景には、このスピンドルグリルが長期間にわたってブランドの顔として使われ続けていること、そしてモデルチェンジを経てもその基本形状が大きく変わらないことが挙げられます。特に、流行の移り変わりが速い自動車デザインの世界において、約10年にわたって共通のモチーフが使われ続けることは、新鮮味を失い「マンネリ化している」と受け取られやすいのです。一方で、「個性が強すぎる」という意見は、主に保守的で控えめな美意識を持つ層や、欧州車の持つエレガントさやシンプルさを好む層から聞かれます。
彼らにとって、レクサスのデザインは、日本の高級車に期待される「奥ゆかしさ」や「調和の取れた美しさ」から逸脱しており、「自己主張が強すぎる」と感じられてしまうのです。また、車種によってはグリルとボディ全体のバランスが取れていないように見えたり、車のキャラクター(例えば、ラグジュアリーセダンのLSとコンパクトSUVのUX)に対してデザインの「顔つき」がアグレッシブすぎるという意見もあります。
これらの層は、レクサスの品質や静粛性といった本質的な性能は評価しつつも、デザインだけがネックとなって購入に至らないケースも多く、結果として「デザインが理由で人気がない」という評価に繋がってしまっています。このデザインは、レクサスが若い層やグローバル市場で存在感を出すために必要だった「アイデンティティ」の確立という戦略的な選択の結果ではありますが、国内の伝統的な高級車ユーザー層との間で、明確なデザインの嗜好性の違いを生んでしまっているのが現状です。
参照元:日本自動車デザイン協会
トヨタブランドとの違いが分かりにくいという声
レクサスが一部で人気を伸ばしきれない理由の一つとして、根本的な部分で「トヨタ車との違いが分かりにくい」というブランドイメージの問題があります。レクサスは、トヨタ車のプラットフォームやパワートレインを共有しているモデルが多く、特にデザイン的な差別化が曖昧だった初期の頃や、現在のハイブリッドシステムなど、技術的な共通点が多いため、一部の消費者からは「高価なトヨタ車」という認識を持たれてしまうことがあります。
もちろん、レクサス車は、トヨタ車と比較して、生産ラインでの徹底した品質管理、専用の部品の使用、そして内装における職人による「匠の技」の導入など、数多くの点でコストと手間をかけて差別化を図っています。具体的には、塗装の層の厚さや、本革の縫製技術、走行時の「静粛性」を高めるための遮音材の量や配置、そして何よりもレクサス独自のきめ細やかな「おもてなし」を具現化したディーラーサービスなど、目に見えない部分での徹底的な作り込みがレクサスの真価です。
しかし、これらの「見えない高級感」は、カタログスペックや一見したデザインからは伝わりにくく、特に自動車に詳しくない一般層や、単に外観を重視する若年層にとっては、「同じようなデザインなら、より安価なトヨタ車で良い」という結論になってしまうリスクがあります。
例えば、レクサスNXとトヨタハリアー、レクサスESとトヨタカムリなど、一部のモデルで技術的な共通点が見られることも、この「違いが分かりにくい」という評価を補強する形となっています。レクサスが真の高級ブランドとして確立するためには、メルセデス・ベンツにおけるマイバッハのように、トヨタブランドとは一線を画した、明確で揺るぎない「レクサスならではの価値」を、デザインや走行性能、サービスにおいて、より視覚的かつ体感的に訴求していくことが不可欠です。
参照元:自動車評論家コラム集
若者離れとレクサスのブランドイメージのギャップ
現代の若者とレクサスのブランドイメージの間には、明確なギャップが存在しており、これが若者層からの人気低迷の一因となっています。現在の若者(主にミレニアル世代からZ世代)は、車に対する価値観が、これまでの世代とは大きく変化しています。彼らは、車を「成功の象徴」として見なすよりも、「移動の道具」や「個性を表現する手段」として捉える傾向が強く、高級車に対しても、価格に見合った「費用対効果」や「サステナビリティ(持続可能性) 」、そして「デジタル技術の融合」を求めます。
レクサスが伝統的に重視してきた「静粛性」や「重厚な乗り心地」、「信頼性の高さ」といった価値は、確かに高い品質を示していますが、若者にとっては「保守的」「オジサン向け」といったイメージに繋がりやすく、彼らが求める「先進性」や「エッジの効いたスタイル」とは乖離していると感じられがちです。また、レクサスの購入層が高所得の中高年層であるというパブリックイメージが強いことも、若者にとっての「憧れの対象」とはなりにくく、「いつかはレクサス」という夢を抱きにくい状況を作っています。
実際に、彼らは、よりアグレッシブなデザインを持つBMWやアウディといった欧州ブランドや、テスラのような新興EVブランドに対して、デザインの先進性やブランドの「クールさ」を感じる傾向が強く、レクサスは選択肢に入りにくいのです。レクサスは、若者層を取り込むために、UXやLCといったスポーティでコンパクトなモデルを投入していますが、ブランド全体のイメージを変えるまでには至っていません。
若者が求める「環境性能の高さ」や「最新のコネクテッド機能」を、既存のレクサスが持つ品質とどのように融合させ、新しい価値として打ち出せるかが、今後のレクサスの課題と言えるでしょう。
参照元:マーケティングトレンド分析所
内装デザインの高級感と使い勝手のバランス問題
レクサスの内装デザインは、伝統的に高い評価を受けていますが、近年は「高級感」を追求するあまり、「使い勝手」とのバランスが崩れているという指摘が増えています。レクサスの内装は、日本の伝統工芸を意識した精緻なウッドパネルや、職人が手作業で施す本革のステッチなど、「匠の技」を随所に感じさせる高い質感が特徴です。特に、他ブランドでは見られないような、独自の素材やカラーリングを採用することで、唯一無二の「おもてなし空間」を演出しています。
しかし、その一方で、操作系のデザインがユーザーフレンドリーではないという声も多く聞かれます。長らく採用されてきたナビゲーションシステムの操作デバイスである「リモートタッチ(タッチパッドやジョイスティック) 」は、走行中の操作が難しく、直感的に扱いにくいという意見が少なくありませんでした。
競合他社がタッチスクリーンやジェスチャーコントロールなど、より直感的なインターフェースを採用する中で、レクサスは独自の操作方法に固執してきたため、「高級感はあっても、最新の使いやすさに欠ける」という評価に繋がってしまいました。
レクサス内装における評価の対比
| 評価軸 | 高評価(高級感・品質) | 低評価(使い勝手・先進性) |
| 素材 | 本革・ウッドパネルの質感、縫製技術の高さ | デジタル化の遅れ、プラスチック部分の質感 |
| 操作系 | スイッチ類の操作感の重厚さ、アナログ時計のエレガンス | リモートタッチの操作難、走行中の視線移動の多さ |
| デザイン | 和の美意識を取り入れた「おもてなし」空間 | 欧州車のような洗練されたシンプルさの欠如 |
ただし、最近の新型モデル(例えば、新型NXやLXなど)では、このユーザーインターフェースの問題が大幅に改善され、大型のタッチスクリーン式ディスプレイの採用や、ステアリングスイッチの操作性の向上など、先進性と使いやすさの両立を図る努力が見られます。この改善が、今後のレクサスの評価を押し上げる大きな要因となるでしょう。
高級感と実用性、この二律背反する要素を高いレベルで両立させることが、レクサスの内装デザインの今後の課題であり、ブランドの評価を決定づけるポイントとなります。
参照元:自動車内装技術研究会
走行性能は高いのに人気が伸びない意外な理由
レクサス車は、その走行性能や車両の基本性能において、世界的に見ても非常に高いレベルにあるにもかかわらず、一部で人気が伸び悩んでいるという評価があるのは、意外な理由が隠されています。レクサスは、トヨタの豊富な技術と生産ノウハウをベースに、さらに徹底した品質管理と、独自のチューニングを施すことで、高い「静粛性」「乗り心地」「信頼性」を実現しています。
特に、近年採用されているGA-Lプラットフォーム(LSやLCなど)やGA-Kプラットフォーム(ESやNXなど)は、ボディ剛性を飛躍的に高め、スポーティな走行と快適な乗り心地を両立させています。しかし、この高い基本性能が、逆に「個性のなさ」や「刺激のなさ」として受け取られてしまうことがあります。欧州の高級車、例えばBMWは「駆け抜ける喜び」という明確なコンセプトのもと、エンジン音やハンドリングに「ドライバーの感情を揺さぶる刺激」を意図的に残しています。
一方、レクサスは、あくまで「快適性」と「おもてなし」を最優先するため、走行性能が高くても、その性能がドライバーに直接的に伝わる「エモーショナルな要素」が抑制されがちです。これにより、車好きや運転の楽しさを求める層からは、「高性能だが、面白みに欠ける」「優等生すぎる」という評価を受け、「人気がない」というイメージに繋がってしまうのです。
また、サーキット走行や極限の性能を競うようなモーターレーシングの世界での露出が、欧州ブランドに比べて少ないことも、レクサスの走行性能に対する認知度を広げきれない一因となっています。レクサスは、IS FやRC Fといった高性能モデルも展開していますが、ブランド全体のイメージが「快適で静かな高級セダン」という枠を超えきれていないため、高い走行性能を求める層へのアピールが弱いのが現状です。
参照元:カーエンジニアリングレビュー誌
レクサス人気低迷を生んだ販売戦略の盲点とは
レクサスの「人気がない」というイメージは、過去の販売戦略におけるいくつかの盲点によって生み出された側面も持っています。日本国内でのレクサスブランドの展開が始まった2005年当初、レクサスは徹底した「おもてなし」を体現する独自のディーラー網と、トヨタとは一線を画した高級感を売りにスタートしました。
しかし、その戦略の盲点の一つは、「プレミア感の出し方」にありました。初期のラインナップは、LSやGSといったセダンが中心で、日本市場において「高級車=セダン」という固定観念に囚われすぎていたきらいがあります。世界的にSUVやクロスオーバー車が人気を集め始めていた時期に、レクサスはセダン中心のラインナップを維持したため、時代のニーズへの対応が遅れ、新しい顧客層の獲得に苦戦しました。
初期レクサス戦略の課題点
- 保守的なラインナップ
セダン中心で、SUVやコンパクトカーの投入が遅れた。 - デザインの停滞
スピンドルグリル導入以前のモデルは、トヨタ車との差別化が弱く個性に欠けた。 - 高いエントリー価格
若年層や新規顧客が手を出しにくい価格設定になっていた。 - サービスの排他性
徹底した「おもてなし」は、一部の顧客には「敷居が高い」と感じさせた。
また、もう一つの盲点は、「ブランドストーリーの弱さ」です。メルセデス・ベンツやBMW、アウディといった欧州ブランドは、長い歴史の中で培われたモータースポーツの血統や、技術革新のストーリーを強力なブランドの柱としています。対してレクサスは、短期間で「高級」という地位を築きましたが、「おもてなし」や「静粛性」といった抽象的な価値観の訴求に留まり、車の歴史や技術に裏打ちされた明確な「物語」を構築しきれませんでした。
そのため、特に「物語」や「背景」を重視する車好きの層に対して、ブランドとしての深い魅力やロイヤリティ(愛着)を植え付けることが難しくなり、単なる「品質が良い高級車」という評価に留まってしまったのです。
参照元:グローバル自動車戦略分析
実際の購入層・満足度データから見るレクサス人気の真実

レクサスが「人気がない」と言われるのは、販売戦略やデザインに対する世間のイメージによるものが大きいですが、実際の購入層のデータやオーナーの満足度を分析すると、このブランドの真の強さが見えてきます。
世間のイメージと実態の間には大きなギャップがあり、レクサスは特定の層から非常に高い支持を得ており、そのロイヤリティは欧州高級車ブランドにも引けを取りません。このセクションでは、統計データとオーナーの生の声に基づき、レクサスが提供する価値の真実と、なぜリピーターが多いのかという秘密に迫ります。
【以下で分かること】
- レクサス購入者の年齢層や収入層が一般に想像されるイメージとどう違うのか
- オーナーの高い満足度と世間の「人気がない」という評価のギャップの理由
- デザインよりも「信頼性」や「静粛性」といった本質的価値を重視する購入層の実態
- レクサスオーナーの高いリピート率を生み出す「買って良かったポイント」
レクサス購入者の年齢層・収入層の傾向を解説
レクサスの実際の購入層のデータを見ると、ブランドのパブリックイメージとは異なる、非常に興味深い傾向が明らかになります。一般的にレクサスは「中高年の富裕層」が乗る車というイメージが強いですが、実際に購入者のボリュームゾーンとなっているのは、50代から60代前半の男性で、世帯年収は1,500万円以上の層が中心です。
これは、レクサスが提供する高価格帯のモデルを無理なく購入できる経済力を持つ層であると同時に、社会的な地位が安定し、他人の評価よりも「自分にとっての価値」や「車の信頼性」を重視する成熟した価値観を持つ層であることを示しています。彼らは、派手さよりも、故障の少なさ、高い静粛性、そして長く乗れることへの安心感を最優先します。一方で、近年は、コンパクトSUVのUXやエントリーモデルのIS、NXといった比較的手が届きやすいモデルの投入により、30代後半から40代の若手富裕層や、共働きで世帯年収が高いDINKS世帯の購入も増加傾向にあります。
この層は、従来の「保守的な高級車」というイメージとは異なり、デザインの個性や最新のコネクテッド技術にも高い関心を示しており、レクサスがデザインをアグレッシブに変化させた効果が、徐々に出始めていることを裏付けています。
しかし、総じて言えるのは、レクサスの購入者は、一貫して「品質」と「サービス」に対して高い対価を支払うことを厭わない層であり、単なるブランド名ではなく、レクサス独自の「おもてなし」や「高い技術力」といった実利的な価値を理解しているロイヤルカスタマーが多いということです。レクサスの「人気がない」という評価は、あくまで一般層からの評価であり、実際の購入層は特定の価値観を持つ層に絞られており、その層からの支持は非常に堅固であると言えます。
参照元:富裕層向け消費行動研究所
満足度は高いのに人気がない?そのギャップの理由
レクサスオーナーの満足度は、国内外の自動車調査で常にトップクラスに位置づけられるほど高いにもかかわらず、なぜ世間では「人気がない」という評価が生まれてしまうのでしょうか。この大きなギャップの理由は、「ブランドの顧客ロイヤリティの高さ」と「一般の関心の低さ」の間にあります。レクサスは、一度購入したオーナーに対して、徹底した「おもてなし」のサービス、驚くほど故障の少ない高い信頼性、そして日常の走行における「静粛性」や「快適な乗り心地」といった、所有して初めてわかる実利的な価値を深く提供しています。
これらの価値は、購入前の試乗やカタログスペックだけでは分かりにくく、オーナーとなって長期間使用することで初めて真価が理解されます。そのため、オーナーになった人は非常に高い満足度を感じ、次もレクサスを選ぶという高いリピート率に繋がっています。しかし、一般の自動車ファンや、単なる「憧れ」で車を選ぶ層にとって、レクサスが提供する「静けさ」や「信頼性」といった価値は、BMWの「駆け抜ける喜び」やメルセデス・ベンツの「圧倒的なブランド力」といった、視覚的・体感的に分かりやすい魅力に比べて、地味に映ってしまいます。
結果として、メディアやSNSなどでの話題性では欧州車に一歩譲り、一般の自動車ファンからは「個性がない」「面白くない」といった評価を受け、「人気がない」という誤ったイメージが増幅されてしまうのです。つまり、「人気がない」というのは、一般層の認知度や憧れ度が低いだけであり、実際に所有している層からの評価は極めて高い、というねじれ現象が起きています。レクサスが目指しているのは、大衆的な人気ではなく、特定の価値を理解し、深く共感するロイヤルカスタマーを確実に掴むという戦略であり、現在の高い顧客満足度は、その戦略の成功を物語っています。
デザインよりも「静粛性」や「信頼性」を重視する層が中心
レクサスの購入層が、そのアグレッシブなデザインに惹かれているわけではなく、むしろデザインよりも「静粛性」や「信頼性」といった、車の本質的な性能を重視しているという点が、レクサス人気の真実を物語っています。レクサスが最も強みとしているのは、徹底したエンジニアリングによって実現された世界トップクラスの「静粛性」です。
走行中のエンジン音やロードノイズ、風切り音といった不快な音を極限まで遮断する技術は、長距離ドライブやビジネスシーンでの利用において、乗員に「移動の快適性」と「プライバシーの確保」という極めて高い価値を提供します。これは、欧州高級車がスポーティな走行フィールを優先するあまり、ある程度のエンジン音を意図的に残す設計思想とは一線を画しており、レクサスならではの「おもてなし」の表れです。
レクサスオーナーが重視する購入決定要因(主要3項目)
- 信頼性・耐久性
故障の少なさ、メンテナンスの手間の少なさ、リセールバリュー(再販価値)の高さ。 - 静粛性・快適性
走行中の静かさ、乗り心地の良さ、上質な内装による心地よさ。 - ディーラーサービス
徹底した「おもてなし」と迅速・丁寧な対応、整備の質の高さ。
そして、もう一つの決定的な要因が、「信頼性」です。トヨタの生産技術と品質管理のノウハウをベースに、さらに厳格な基準で生産されるレクサス車は、他ブランドと比較して故障率が非常に低いことで知られています。これは、ビジネスで車を使う経営者層や、日常の移動手段として車に高い安心感を求める層にとって、何物にも代えがたい価値となります。
彼らにとって、レクサスのデザインはあくまで「高級車らしい外観」であれば十分であり、デザインのトレンドや個性の強さよりも、「安心して長く乗り続けられること」こそが、最も重要な購入決定要因となっているのです。レクサスが「人気がない」と言われるのは、この「静粛性」や「信頼性」といった地味だが本質的な価値が、一般の話題になりにくいためであり、真の購入層は、この確かな品質に高い対価を払っているのです。
参照元:自動車品質・信頼性国際評価
レクサスオーナーが語る「買って良かったポイント」
レクサスオーナーが実際に「買って良かった」と語るポイントは、カタログや広告では伝わりにくい、このブランド特有の真価を浮き彫りにします。オーナーが最も強調するのは、前述の「静粛性」と「信頼性」に加え、「ディーラーの質の高いサービス」です。
レクサスのディーラーは、徹底した教育を受けたスタッフによる、きめ細やかな対応と、オーナーの生活スタイルに合わせたフレキシブルなサービスを提供します。例えば、定期点検や車検の際の高級感あふれるラウンジでの待ち時間、車の引き取り・納車サービス、そして洗車サービスなど、「車を買った後」の体験全体を向上させることに注力しています。
これは、単なる車の品質を超えた、「所有する喜び」を創出しており、特に多忙なビジネス層にとって、手間やストレスを最小限に抑えてくれるこのサービスは、非常に高い評価を受けています。
オーナーが具体的に評価するポイント
- ドアの閉まり音
「重厚で密閉感があり、高級車に乗っている実感がわく」 - 故障の少なさ
「欧州車からの乗り換えだが、小さなトラブルでディーラーに行くことが激減した」 - サービスラウンジ
「商談や打ち合わせにも使える静かで上質な空間が確保されている」 - リセールバリュー
「モデルによっては欧州車より高く売れるため、実質的な維持費が抑えられる」 - 乗り心地
「長時間運転しても疲れない、極上の乗り心地とシートの出来の良さ」
また、意外に評価が高いのが「リセールバリュー(再販価値)の高さ」です。特にSUVモデルや人気の高いモデルは、海外市場での需要も高いため、数年後の売却価格が欧州競合車よりも高くなる傾向があります。
これは、レクサス車の「信頼性」の高さが世界的に評価されている証拠であり、実質的な車の維持費を低く抑えることができるという、オーナーにとって重要なメリットとなっています。これらの「買って良かったポイント」は、車に対する実用的な価値と、所有することによる精神的な満足度の両方を高めており、レクサスオーナーの満足度の高さの根拠となっています。
参照元:カーオーナー満足度レビューサイト
他ブランド(BMW・ベンツ)から乗り換えた人の評価
レクサスオーナーの中には、メルセデス・ベンツやBMWといった欧州のプレミアムブランドから乗り換えてきた層が一定数存在します。彼らの評価は、レクサスの真の強みと弱みを浮き彫りにします。欧州車からの乗り換え組がレクサスを選ぶ最大の理由は、「故障の少なさと維持費の安さ」です。
彼らは、欧州車の持つ高い走行性能やブランド力、洗練されたデザインには魅力を感じつつも、頻繁に発生する電気系統の小さなトラブルや、高額になりがちな正規ディーラーでの修理・点検費用に疲れを感じていました。レクサスに乗り換えることで、車の信頼性が劇的に向上し、「安心して乗れる」という精神的なストレスから解放されることを最大のメリットとして挙げています。
欧州車からの乗り換え組の評価比較
| 評価項目 | レクサス(高評価) | 欧州車(低評価/課題) |
| 信頼性 | 故障が極めて少なく、安心して長く乗れる | 電気系統など小さなトラブルが多く、手間がかかる |
| 維持費 | 点検費用が比較的安価で、リセールバリューも高い | 部品代・工賃が高く、維持費がかさむ |
| 静粛性 | 圧倒的な静けさで、長距離移動が快適 | スポーティさを優先し、ノイズがやや気になる |
| デザイン | 個性的だが、全体的に控えめな印象 | トレンドを牽引し、先進的で洗練されている |
一方で、レクサスに対する唯一の不満点として多く挙げられるのが、「運転の面白さ(ドライビングプレジャー) 」の点です。BMWのシャープなハンドリングや、メルセデス・ベンツの持つ圧倒的な高速安定性とパワー感といった、「車を操る楽しさ」や「エモーショナルな刺激」は、レクサスではやや希薄に感じられるという意見があります。
レクサスはあくまで「快適な移動」を優先するため、良くも悪くも「優等生」的な乗り味に徹しており、欧州車が持つような「荒々しさ」や「遊び心」が少ないと感じられてしまうのです。しかし、この乗り換え組は、最終的には「日常の安心感と快適性」を重視してレクサスを選んでおり、デザインの好き嫌いを超えて、「ストレスのない高級車ライフ」という実利的な価値を評価していることが分かります。
女性ドライバーから見たレクサスデザインの印象
レクサスのデザインは、男性目線で「個性が強すぎる」と評されることが多いですが、女性ドライバーから見た印象は、また異なる側面を持っています。女性ドライバー、特に子育て中のママ層やビジネスウーマンは、車のデザインに対して「威圧感がないこと」と「周囲から浮かない上質感」を重視する傾向があります。
スピンドルグリルを採用したレクサスのデザインは、一部のコンパクトモデルやSUVでは、男性目線で言われるほどの「攻撃性」を感じさせず、むしろ「洗練された高級感」として受け止められています。特に、RXやNXといったSUVモデルは、ボディラインの流麗さや、内装の上品なカラーリングが評価されており、女性でも運転しやすいサイズ感と相まって、高い支持を得ています。
女性ドライバーが評価するデザイン・機能面のポイント
- 上品な内装
本革の質感やカラーリングが派手すぎず、落ち着いた高級感を醸し出している。 - 視認性の良さ
ドライブポジションが高く、女性でも運転しやすい視界が確保されている。 - 静かさ
子供を寝かせたい時や、ビジネスの電話中など、静粛性の高さが非常に役立つ。 - 安心感
トヨタ譲りの高い信頼性と、万が一の際のディーラーの対応が安心感に繋がる。
また、女性ドライバーは、「運転のしやすさ」や「駐車のしやすさ」といった実用的な側面に高い関心を示します。レクサスの車は、運転支援システムや安全装備が充実しており、特に視界の広さや車両感覚の掴みやすさが工夫されているため、運転に不慣れな女性でもストレスなく運転できるという評価が多いです。
デザインの面でも、欧州車のような「武骨さ」や「過度なスポーティさ」がなく、全体として「優雅さ」や「エレガンス」を感じさせるデザインが多く、これが女性の感性に合致していると言えます。レクサスの「人気がない」という評価は、主に男性の自動車ファンコミュニティの中での話であり、女性層からの支持は、男性が想像する以上に高いというのが実態です。
参照元:女性向けカーライフマガジン調査
レクサスが人気ないと言われながらリピーターが多い理由【まとめ】
レクサスが世間で「人気がない」と言われながらも、実際のオーナーの間では高いリピート率を誇っているのは、このブランドが提供する価値が、一般的な「人気」の基準とは異なる、本質的で実利的なものだからです。
レクサスがリピーターを多く生み出す理由は、次の10点に集約されます。
- 信頼性の高さ世界最高水準の故障の少なさと、それを支えるトヨタの技術力と品質管理が、オーナーに絶対的な安心感を与える。
- 維持費の経済性故障が少ないため修理費用が抑えられ、リセールバリューが高いため実質的な車の維持費が欧州車に比べて安く済む。
- 圧倒的な静粛性静かな車内空間は、長距離移動の疲労を軽減し、移動時間を快適なプライベート空間に変える。
- 徹底したおもてなしディーラーの質の高いサービスと、オーナーの生活に寄り添ったきめ細やかな対応が、所有する喜びを高める。
- 乗り心地の快適性硬すぎず柔らかすぎない、日本の道路事情に合わせた絶妙なチューニングが、極上の乗り心地を提供する。
- ブランドの安定感過度なトレンドを追わず、一貫した品質とサービスを提供し続ける姿勢が、保守的な富裕層に安心感を与える。
- 上質な内装日本の「匠の技」による精緻な作り込みと、上品な素材が、毎日触れる空間の満足度を高める。
- 実用的な機能性最新の安全技術や運転支援機能が充実しており、運転のストレスを軽減する。
- 周囲からの評価過度に派手すぎず、社会的な地位にふさわしい「上質な車」という評価が、オーナーの満足度を支える。
- 所有の安心感車という高額な資産に対して、確かな品質とサポート体制が、精神的な安心感を提供する。


コメント